障害福祉サービスを利用してきた親が65歳に近づいてきたとき、家族の中に静かな不安が生まれることがあります。
「介護保険に切り替わるの?」
「今まで使っていたサービスは、もう使えなくなるの?」
「障害福祉と介護保険は、併用できるの?」
制度の名前も似ていますし、相談先もひとつではありません。障害福祉の窓口、介護保険の窓口、地域包括支援センター、相談支援専門員、ケアマネジャー。名前を聞くだけで、「結局、どこに何を聞けばいいの?」と疲れてしまう方もいると思います。
特に、長く障害福祉サービスを使いながら暮らしてきた親の場合、サービスが変わることは、単なる手続きの変更ではありません。
慣れた支援者、慣れた時間、慣れた声かけ。そうしたものが、本人の安心を支えていることもあります。
夕方、使い込んだ椅子に座って書類を眺めていると、制度の話なのに、なぜか家族の暮らしそのものを動かす話のように感じることがあります。
結論からいうと、障害福祉サービスと介護保険には「優先関係」があります。一般的には、介護保険で対応できるサービスがある場合は、介護保険が優先される考え方があります。
ただし、65歳になったからといって、すべての支援が一律に介護保険へ切り替わるわけではありません。
本人の状態、必要な支援内容、現在使っているサービス、自治体の判断などによって、確認が必要になります。
この記事では、障害福祉と介護保険の違い、65歳前後で起こりやすい切り替えや併用のポイント、家族が相談前に整理しておきたいことを、介護夫婦の目線でやさしく整理していきます。
【この記事でわかること】
・障害福祉サービスと介護保険の基本的な違い
・65歳前後で介護保険が関係してくる理由
・障害福祉と介護保険の併用や切り替えで詰まりやすい点
・相談支援専門員、ケアマネジャー、行政窓口への相談の順番
・家族が連絡や情報共有を抱え込みすぎないための工夫
・夫婦で支援を整理するときの考え方
結論:制度の優先関係があるため、家族だけで判断しない

障害福祉サービスと介護保険の関係で迷ったときは、家族だけで制度を読み解こうとするより、早めに窓口で整理するのが現実的です。
特に65歳を迎える前後では、これまで障害福祉サービスで受けていた支援について、「介護保険サービスで対応できるものがあるか」を確認する場面が出てきます。
【まず押さえたいこと】
障害福祉サービスと介護保険には、一般的に介護保険が優先される考え方があります。ただし、65歳になったからといって、すべての支援が一律に介護保険へ切り替わるわけではありません。本人の状態や必要な支援内容を、窓口で確認しながら整理することが大切です。
たとえば、次のような確認が必要になることがあります。
・居宅介護に近い支援が、介護保険の訪問介護で対応できるのか
・日中活動や通所の支援が、通所介護などで代替できるのか
・外出支援や障害特性に応じた支援が、介護保険だけで足りるのか
ただし、「65歳になったら必ず全部が介護保険に変わる」と単純に考えないほうがよいでしょう。
障害福祉サービスには、介護保険に同じようなサービスがないものもあります。同行援護、行動援護、就労系サービスなど、本人の障害特性や生活状況に深く関わる支援については、個別に確認が必要です。
つまり、見るべきポイントは「年齢だけ」ではありません。
大切なのは、次の3つです。
ここを整理しないまま、「介護保険が優先らしい」「もう障害福祉は使えないらしい」と聞きかじりで判断すると、必要な支援が途切れてしまうことがあります。
制度の判断には、自治体の運用や本人の状況、支給決定の内容も関係します。だからこそ、障害福祉の行政窓口、介護保険の窓口、相談支援専門員、地域包括支援センター、ケアマネジャーをつなぎながら確認することが大切です。
独力で判断しないことが、支援を守る第一歩
家族がいちばん避けたいのは、「よくわからないまま、使えるサービスをあきらめてしまうこと」です。
障害福祉と介護保険は、どちらも本人の生活を支える大切な制度ですが、考え方や申請の流れが違います。
障害福祉では、障害の特性や日常生活に必要な支援を見ながらサービスが組まれます。介護保険では、要介護認定を受けたうえで、介護の必要度に応じてサービスを組みます。
どちらがよい、悪いという話ではありません。
本人の暮らしにとって何が必要かを、制度ごとに確認していくことが大切です。
ただ、正直に言えば、家族がそこまで冷静に考えられない日もあります。「また窓口に聞かなきゃいけないのか」と思うだけで、気持ちが重くなることもあるでしょう。
夫婦で親の支援を考えるときも、「どちらかが全部調べる」形になると、負担が偏りやすくなります。
実親のことだからと片方が抱え込み、もう片方は遠慮して口を出せない。そんな空気になることもあるかもしれません。
けれど、制度の話は一人で背負うには重たいものです。
まずは、次のくらいからで十分です。
・今使っているサービスを書き出す
・65歳になる時期を確認する
・相談支援専門員や行政窓口に聞くことをメモする
制度を完璧に理解してから相談する必要はありません。
「わからないから相談する」で大丈夫です。
真美制度の名前だけで、もう頭がいっぱいになるね



うん。全部理解してから動こうとしなくていい。窓口で一緒に整理してもらうくらいでいいと思うよ
障害福祉サービスと介護保険の違いは、対象と目的で見る


障害福祉サービスと介護保険は、どちらも生活を支える制度ですが、対象や目的、手続きの流れが違います。
障害福祉サービスは、障害のある方が地域で暮らすために必要な支援を受ける制度です。居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、就労系サービス、短期入所など、障害の特性や生活状況に応じたサービスがあります。
一方、介護保険は、主に加齢に伴って介護が必要になった方を支える制度です。原則として65歳以上の方が対象になり、40歳から64歳の方でも特定疾病に該当する場合は対象になることがあります。
介護保険では、要介護認定を受け、ケアマネジャーがケアプランを作成し、訪問介護、通所介護、福祉用具、ショートステイなどのサービスを利用していきます。
ざっくり分けると、障害福祉サービスは、障害の特性に応じた生活支援や社会参加の支援が中心です。介護保険は、加齢や心身機能の低下による介護の必要性に応じた支援が中心です。
もちろん、実際の生活ではきれいに分けられないこともあります。
若いころから障害福祉サービスを使っていた人が高齢になり、身体機能の低下や認知症の心配が出てくることもあります。反対に、高齢になってから障害のある状態になり、介護保険だけでは説明しきれない支援が必要になることもあります。
だからこそ、「障害福祉か、介護保険か」の二択で考えすぎないことが大切です。
【確認しておきたいこと】
障害福祉サービスと介護保険の扱いは、本人の年齢、障害特性、要介護認定の有無、現在の支給決定、自治体の運用によって異なることがあります。判断に迷う場合は、市区町村の障害福祉窓口、介護保険窓口、相談支援専門員、地域包括支援センター、ケアマネジャーに確認してください。
対象・目的・相談先の違い
対象と目的の違いをもう少しやさしく整理すると、障害福祉サービスは、本人の障害特性や生活のしづらさに合わせて、地域で暮らすための支援を考える制度です。
介護保険は、介護が必要な状態になった方に対して、日常生活の介助、機能維持、家族の負担軽減などを考える制度です。
また、相談に関わる専門職も少し違います。
障害福祉では、相談支援専門員がサービス等利用計画に関わることがあります。介護保険では、ケアマネジャーがケアプランを作り、介護サービス事業所との調整を行います。
65歳前後では、この「相談支援専門員」と「ケアマネジャー」が連携できるかどうかが、とても大切になります。
今までの暮らし方、本人のこだわり、支援が必要な場面、家族が担っていること。そうした情報を介護保険側にきちんと引き継ぐことで、切り替え時の混乱を減らしやすくなります。
夫婦で共有しておきたい視点
障害福祉と介護保険の話は、制度そのものが複雑です。そのため、夫婦のどちらか一人だけが説明を聞き、もう一人が後から「結局どうなったの?」となりやすいところがあります。
特に、実親の支援をしている側が中心になって動いている場合、配偶者には見えない連絡や確認が積み重なりがちです。
役所への電話。事業所との調整。更新時期の確認。本人の様子を伝えるためのメモ。
ひとつひとつは小さく見えても、続くと気持ちの余裕を削っていきます。電話を切ったあと、しばらく黙ってしまうこともあるかもしれません。
「これをまた夫婦で説明し直すのか」と思うと、それだけで疲れてしまう日もあります。
夫婦で全部を同じ熱量で理解する必要はありません。ただ、次の4つだけでも共有しておくと、すれ違いを減らしやすくなります。
・65歳前後で制度の確認が必要になること
・今のサービスがそのまま続くとは限らないこと
・でも、すぐに全部使えなくなると決まったわけではないこと
・相談先を分けて確認する必要があること
制度の細かい部分まで共有できなくても、「今は確認が必要な時期なんだ」と夫婦でわかっているだけで、言葉のぶつかり方が少し変わることがあります。
併用・切り替えで詰まりやすいのは、65歳・申請・サービスの空白


障害福祉サービスと介護保険の併用や切り替えで詰まりやすいのは、「65歳」「申請」「サービスの空白」の3つです。
まず、65歳になると介護保険の第1号被保険者となり、介護保険サービスの利用が現実的な選択肢になります。このとき、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、一般的には介護保険が優先される考え方があります。
ただし、介護保険を一律に優先して終わりではありません。本人が必要としている支援内容を、介護保険サービスで本当に受けられるかどうかを、個別に確認する必要があります。
次に、申請のタイミングです。介護保険を利用するには、要介護認定の申請が必要です。
申請してすぐにすべてが決まるわけではなく、認定調査、主治医意見書、判定、結果通知といった流れがあります。地域や時期によっても異なりますが、ある程度の時間がかかると考えておいたほうが安心です。
そのため、65歳を迎える直前に慌てて動くと、障害福祉サービスの支給決定と介護保険サービスの開始時期の間で、家族が不安を感じやすくなります。
さらに、サービスの空白も大きな心配です。
たとえば、今まで慣れた事業所のヘルパーさんが来てくれていたのに、介護保険に切り替わることで別の事業所になる場合があります。
本人に強いこだわりがある。環境変化が苦手。意思疎通に支援が必要。そういった場合は、ただサービス名を置き換えるだけではうまくいかないこともあります。
家族としては、「制度上は同じような支援」と説明されても、心のどこかで引っかかることがあります。それは、本人の日常を近くで見てきたからこそ感じる不安なのだと思います。
こうした場合は、障害福祉の窓口、相談支援専門員、地域包括支援センター、ケアマネジャーが早めに情報を共有することが大切です。
65歳前後で確認したいこと
65歳前後で家族が確認したいことは、次のような項目です。
【65歳前後で確認したいこと】
・65歳になる時期
・現在使っている障害福祉サービスの種類
・障害福祉サービスの支給決定の期限
・介護保険の要介護認定を申請したか
・認定結果が出るまでの見込み
・現在の事業所を継続できる可能性
・介護保険で代替できるサービス
・介護保険だけでは足りない支援
・本人が変化に弱い場面
・家族が補っている支援
特に大切なのは、「今まで何が支えになっていたか」を言葉にすることです。
たとえば、同じ「外出支援」でも、単に移動を手伝うだけではないことがあります。本人が不安にならない声かけ、混雑を避ける工夫、こだわりへの対応、疲れたときの休ませ方。
こうした細かな支援は、書類上のサービス名だけでは伝わりにくいものです。
家族がすべてを背負う必要はありませんが、「本人にとって外せない支援」を短くメモしておくと、相談の場で役に立ちます。
サービスが変わるときは、本人の不安も一緒に伝える
制度上は「同じような支援」と見えても、本人にとっては大きな変化になることがあります。
支援者が変わる。時間帯が変わる。事業所の雰囲気が変わる。声かけの仕方が変わる。
こうした変化が、本人の不安や混乱につながることもあります。
相談のときは、「サービス名」だけでなく、生活上の困りごとも伝えておくとよいでしょう。
・環境変化が苦手
・初対面の人に強い不安がある
・決まった手順が崩れると混乱しやすい
・外出時にパニックになりやすい
・家族がいないと説明が伝わりにくい
こうしたことは、家の中で一緒に暮らしている人や、長く関わってきた家族だからこそ気づける情報です。
「こんな細かいことまで言っていいのかな」と迷うかもしれません。でも、本人の安心につながることなら、相談の場で伝えてよい大切な情報です。
夫婦で支援を考える場合も、「制度上どうなるか」と「本人が困りそうなこと」を分けて話すと、少し整理しやすくなります。



サービスが変わるって、本人にとってはけっこう大きいことだよね



うん。名前が似ていても、人や時間が変わると負担になることがあるから、早めに伝えておきたいね
相談の順番は、今つながっている窓口から始める


障害福祉と介護保険の関係で迷ったら、まずは「今つながっている窓口」と「これから必要になる窓口」を分けて考えると整理しやすくなります。
すでに障害福祉サービスを利用している場合は、まず相談支援専門員や障害福祉の行政窓口に相談しましょう。
そこで、次のようなことを確認します。
・65歳以降のサービスはどうなるのか
・介護保険の申請はいつ必要か
・今の支給決定はどう扱われるのか
・継続できる障害福祉サービスがあるのか
・介護保険側に伝えておくべきことは何か
次に、介護保険の申請が必要になりそうなら、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターに相談します。
地域包括支援センターは、高齢者の介護や生活の相談を受ける地域の窓口です。親が65歳以上で、要介護認定や介護サービスの利用を考えるなら、入口として頼りやすい相談先です。
要介護認定が出たあと、在宅サービスを利用する場合は、ケアマネジャーが関わることが一般的です。
このとき、これまでの障害福祉サービスの内容や本人の特性を、ケアマネジャーに共有することがとても大切です。
相談の基本的な順番
相談の順番は、次のように考えるとよいでしょう。
・相談支援専門員に「65歳以降の支援が心配」と伝える
・障害福祉の行政窓口で、支給決定や継続の考え方を確認する
・地域包括支援センターまたは介護保険窓口に、要介護認定の申請について相談する
・認定後、ケアマネジャーにこれまでの支援内容を共有する
・障害福祉側と介護保険側で、足りない支援や併用の可能性を確認する
もちろん、順番は地域や本人の状況によって変わります。すでに介護保険の申請が始まっている場合もあれば、障害福祉の更新時期が先に来る場合もあります。
大切なのは、「どちらか一方だけに相談して終わり」にしないことです。
障害福祉と介護保険の両方が関係する場合は、それぞれの窓口が情報を持ち寄ることで、本人に合った支援を考えやすくなります。
・相談支援専門員
・市区町村の障害福祉窓口
・地域包括支援センター
・市区町村の介護保険窓口
・ケアマネジャー
・主治医
・サービス事業所
相談前のメモテンプレ
相談前には、次のようなメモを作っておくと話しやすくなります。
【本人の基本情報】
・名前:
・年齢:
・障害者手帳の有無・種類:
・現在の住まい:在宅/施設/グループホームなど
・同居・別居:
【現在使っている障害福祉サービス】
・サービス名:
・利用回数・時間:
・事業所名:
・支給決定の期限:
・相談支援専門員の名前:
【介護保険の状況】
・65歳到達:済/これから
・要介護認定:未申請/申請中/結果待ち/認定済
・地域包括支援センターへの相談:未/済
・ケアマネジャー:未定/決定済
【困っていること】
・今のサービスがなくなると困ること:
・本人が変化に弱い場面:
・家族が補っている支援:
・介護保険だけで足りるか不安なこと:
【相談したいこと】
・65歳以降も使えるサービスを知りたい
・介護保険と障害福祉を併用できるか確認したい
・サービスが途切れないようにしたい
・相談支援専門員とケアマネに連携してほしい
このメモは、きれいな文章にしなくて大丈夫です。箇条書きで十分ですし、わからないところは空欄のままで構いません。
夫婦で使う場合は、スマホのメモや共有ノートにしておくと、どちらか一人だけが情報を抱えずにすみます。
家族がやることは、制度の理解より連絡・情報共有・記録を整えること


家族がやることは、制度を完璧に理解することではありません。
むしろ大切なのは、連絡、情報共有、記録を少し整えて、本人の支援が途切れにくい状態を作ることです。
障害福祉と介護保険の両方が関わると、登場人物が増えます。
・本人
・家族
・相談支援専門員
・障害福祉の行政窓口
・地域包括支援センター
・介護保険窓口
・ケアマネジャー
・サービス事業所
・主治医や医療機関
これだけ関係者がいると、誰に何を伝えたかわからなくなりやすいです。
夫婦のどちらか一人だけが電話対応や書類確認を抱えると、あとで「聞いていない」「そんな話だったの?」というすれ違いも起きやすくなります。
家族ができることは、大きく3つです。
1つ目は、連絡先をまとめることです。
相談支援専門員、ケアマネジャー、地域包括支援センター、行政窓口、事業所、主治医などの電話番号を、紙やスマホのメモにまとめておきます。
2つ目は、相談内容を簡単に記録することです。
「いつ、誰に、何を相談したか」
「次に何をすることになったか」
「期限はいつか」
これだけでも残しておくと、夫婦で共有しやすくなります。
3つ目は、本人の困りごとを具体的に伝えることです。「介護が大変です」だけではなく、生活場面で伝えると支援につながりやすくなります。
・朝の着替えに時間がかかる
・外出時に不安が強い
・知らない人が来ると拒否が出る
・予定変更があると混乱しやすい
・家族が何度も声かけをしている
制度の言葉に直せなくても大丈夫です。
暮らしの中で起きていることを、そのまま伝えることが大切です。
窓口役は決めても、責任は一人に寄せない
夫婦で特に決めておきたいのは、「窓口役を誰にするか」です。
これは、すべてを一人に背負わせるという意味ではありません。外部との連絡の入口を一人に決めておくと、情報が散らばりにくくなるという意味です。
たとえば、次のような分け方でもよいでしょう。
【夫婦で分けておきたいこと】
・外部との電話や日程調整をする人
・メモの整理やサービス内容を確認する人
・相談日に同席できるか確認する人
・書類を保管する場所を決める人
・兄弟姉妹や家族に共有する人
反対に、実親側の家族が主に窓口になり、配偶者は家計や予定管理を支える形でも構いません。
大切なのは、「なんとなく片方だけが全部やる」状態にしないことです。
長く一緒にいても、相手の疲れ方までは見えないことがあります。「大丈夫」と言われると、こちらもそれ以上聞けなくなる日があります。
夫婦で話すなら、次のような短い確認で十分です。
・外部からの電話を受ける人
・メモを残す人
・相談日に同席する人
・書類を保管する場所
・夫婦で共有するタイミング
すべてを平等に分ける必要はありません。それぞれの得意不得意や仕事の都合に合わせて、続けられる形にすることが大切です。
「自分ばかりが動いている」
「相手は何もわかってくれない」
そんな気持ちがたまる前に、少しだけ役割と共有の形を決めておくと、夫婦の空気も守りやすくなります。
記録は「あとで見返せる程度」で十分
記録というと、きちんとした議事録のようなものを想像するかもしれません。
でも、家庭で残す記録はそこまで整っていなくて大丈夫です。たとえば、次のような短いメモで十分です。
「5月10日 相談支援専門員さんに電話。65歳以降のサービス確認。次は障害福祉窓口に聞く」
ポイントは、「次に誰が何をするのか」がわかることです。
夫婦で共有するときも、「全部説明して」と言われると負担になります。メモを見ながら、「次はここに電話することになったよ」と共有するくらいなら、少し続けやすくなります。
介護や福祉の連絡は、日常のすき間に入ってきます。仕事の休憩時間に電話をする。夕飯のあとに書類を見る。寝る前に明日の予定を確認する。
それだけでも、十分に気力を使います。
だからこそ、記録は完璧さよりも、あとで自分たちが困らないことを優先してよいのです。



窓口役って聞くと、全部その人が背負う感じがして不安になるね



入口を決めるだけで、責任を一人に寄せるわけじゃないからね。共有する形も一緒に作りたいな
まとめ:迷ったら地域包括支援センターと行政窓口で整理する


障害福祉サービスと介護保険の関係は、少し複雑です。
特に65歳前後では、介護保険が優先される場面、障害福祉サービスとして継続を確認する場面、併用を検討する場面が出てくることがあります。
ただし、「65歳になったから全部終わり」「介護保険に変わるから障害福祉は使えない」と、家族だけで決めつける必要はありません。
介護保険に相当するサービスがあるか。本人に必要な支援を介護保険で受けられるか。障害福祉固有の支援が必要か。こうしたことは、個別に確認していくことが大切です。
迷ったときの相談先は、まずこの2つを意識するとよいでしょう。
すでに介護保険が始まっている場合は、ケアマネジャーにも状況を共有しましょう。障害福祉側と介護保険側がつながることで、本人の生活に合った支援を考えやすくなります。
【今日できる最小の一手】
現在使っている障害福祉サービスの名前、事業所、利用回数、支給決定の期限、65歳になる時期、変わると不安なことを、紙やスマホに書き出してみましょう。
そのメモを持って、地域包括支援センターか行政窓口に、
「障害福祉サービスと介護保険の関係を整理したいです」
と相談してみましょう。
全部を家族だけで理解しなくても大丈夫です。制度の間で迷ったときこそ、窓口につながることが、本人の暮らしと家族の安心を守る一歩になります。
夫婦でできることも、大きな決断から始めなくて大丈夫です。
まずは、今使っているサービスを書き出す。次に、誰に相談するかを決める。そして、相談した内容を一緒に見返せるようにしておく。
そのくらいの小さな整理からで十分です。
制度が複雑だと、家族は「自分たちがわかっていないから悪いのでは」と感じてしまうことがあります。
でも、本来、制度は家族だけで背負うものではありません。
わからないことを、わからないまま窓口に持っていく。本人の暮らしを、本人らしく続けるために必要なことを伝える。夫婦のどちらか一人に負担を寄せすぎないよう、少しずつ共有する。
それも、立派な支え方です。
夜、書類を前にしてため息が出る日もあると思います。制度の言葉がうまく頭に入らず、明日に回したくなる日もあるでしょう。
それでも、ひとつ書き出すだけで、ぼんやりしていた不安の輪郭が少し見えてきます。輪郭が見えると、次に聞く言葉も少しずつ見つかっていきます。
急いで答えを出さなくても大丈夫です。
まずは、今の支援を途切れさせないために、相談先へつながることから始めていきましょう。



難しい制度の話でも、まず書き出して相談すればいいんだね



うん。家族だけで答えを出さなくていい。つなぐことも、大事な役割だと思うよ








